人の話、聞けてますか? あなたの傾聴は、レベル何?

こんにちは! 代表取締役の小野孝太郎です。 今日は傾聴のレベルについてお話したいと思います。

■傾聴の5つのレベル

傾聴とは、「耳を傾けて熱心に聞くこと」などと辞書では書かれていますが、私たちが傾聴について説明するときは、U理論(*1)の考え方を元に5つのレベルに分けて説明することがあります。

Level0 聞いていない
Level1 DOWNLOADING
Level2 SEEING
Level3 SENSING
Level4 PRESENSING

の5つです。順に説明します。

■Level0 聞いていない

Level0の「聞いていない」とは、意識の矛先が相手ではなく、別の対象に向いている状態です。 例えば職場で部下に話しかけられた際に、パソコンのモニターを見たまま聞くのはLevel0の聞き方です。 スマホをいじりながら聞くのもLevel0の聞き方です。 

■Level1 DOWNLOADING

Level1の「DOWNLOADING」とは、自分の価値観に照らし合わせている状態です。

例えば、相手が話している間に自分の考えや、次に言いたいことが頭に浮かぶのがDOWNLOADINGの典型的な例です。 その瞬間、意識の矛先は相手ではなく、自分の思考に向いており、Level0の状態となります。

人の話を最後まで聞けないのはDOWNLOADINGが引き金となっています。

誰もがこれまでの人生でDOWNLOADINGをする経験とされる経験の両方を沢山してきたのではないでしょうか? まだ話し終わっていないのに聞き手が話し出す状態です。

■Level2 SEEING

Level2の「SEEING」は相手に意識を向けて聞いている状態です。 自分の価値観は脇に置いておいて相手が世界をどのように見ているのかを観察している状態です。

■Level3 SENSING

Level3の「SENSING」は相手の言葉だけに意識を向けるのではなく、相手が今何を感じているのか? 深く共感しながら聞いている状態です。

■Level4 PRESENSING

そして最後のLevel4の「PRESENSING」はPRESENT(今この瞬間)とSENSINGの造語です。SENSINGよりもさらに深い意識のレベルで繋がっているような状態。 U理論の説明では”Connecting to SOURCE”(源に繋がる)という表現を使っています。

私なりの解釈ですが、私たちは意識の深いところでは皆繋がっています。 スピリチュアルな感じがするかもしれませんが、私はその通りだと捉えています。 お互いの意識を井戸に例えると、井戸を掘って掘って掘り下げていったら、深いところでは同じ地下水脈に繋がっているような…そんなイメージを私は持っています。

■私たちがとても大切にする聴き方

私たちはPRESENSINGのレベルで聴くことができるように探求し続けています。 人はこのレベルで誰かに関わってもらった時、深い気づきとともに変容が始まります。 コーチが変えようとしなくても、自らの力で心の声が望む方向への変容が始まるのです。

コーチングはLevel1やLevel2で聴いていてもできないことはありません。 適切な質問によって、相手の思考を広げたり、深めたり、新たな気づきを促すことも可能です。 私自身沢山のコーチのコーチングを受けてきましたが、Level1, Level2で聞かれていると感じるコーチは大勢いました。 一方で、Level3, Level4で聴いてくれるコーチのコーチングも体験しました。 どちらが良い悪いではないと思いますが、私たちはLevel4で聴くことができるように成長し続けます。

■自分が今この瞬間どのレベルにいるのかに意識的になる

ではどうしたらPRESENSINGのレベルで聴くことができるようになるのでしょうか?

まず大切な第一歩として、自分がどのレベルで聴いているのか、意識的になるということがあげられます。 自分を客観視し、自分の意識の矛先がどこに向いているのかに気づくことができるようになることです。 このような能力をメタ認知能力と言います。

メタ認知能力はいつからでも何歳からでも高めることができます。

その有力な方法が「瞑想」です。

瞑想は今この瞬間自分の身体に起こっていることに意識を向けることが基本です。 例えば静かに座り、呼吸を観察します。 観察していると別の思考が浮かんでしまうはずです。 その時、意識は呼吸ではなく思考に向いています。 そうなっている自分をメタ認知し、呼吸に意識を向け直すのです。 これを繰り返すことで、メタ認知能力を高めていくことができます。 なお、瞑想は静かに座らなければいけないわけではありません。 日々の生活の中で、自分の意識を今この瞬間に起こっていることに向ければ良いのです。 何をしている時でも瞑想はできるのです。

さらに深い瞑想をすることで、自分自身の源に繋がる・・・PRESENSINGの感覚で自分の心の声を聴くような体験もできるようになります。 あらゆる固定観念や執着を手放し、自分の本当の心の声をあるがままに感じるのです。 

私がこれまで受けたコーチングでも、PRESENSINGのレベルで聴いてくれていると感じるコーチは例外なく、瞑想をとても大切にしています。

DOWNLOADINGを完全に無くすことはできません。 でも、DOWNLOADINGしている自分に気づき、自分の意識の矛先を変えることはできるようになります。 まずは自分が今どのレベルで相手の話を聞いているか? 意識的になることから始めてみてください。

(*1) U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術 

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